教育

センター試験終了に寄せて(医師不足解消のために)

Posted by hsaitoh on 1月 16, 2012
活動報告 / No Comments

センター試験の受験生の皆さんや、関係者の皆様はお疲れさまでした。これからいよいよ本番の受験シーズンを迎えますが、体調管理などに気を付けて頑張って下さい。

さて、高等教育に関して触れておきたいこととして、、新潟県、とりわけ新潟市を除く下越地域の医師不足の問題があります(二次医療圏別の10万人当たり医師数が、全国平均225人、新潟県平均188人に対して、下越地域は159人(平成20年))。

この医師不足解消について、政策の面での提言として、

1)新潟大学医学部の定員増

2)新卒医師が、人口当たり医師数が全国平均を下回る地域に就職した場合の金銭的インセンティブの付与

を主張したいと思います。

まず第1に、新潟大学医学部の定員増です。

新潟大学医学部の入学定員は、125人です。これを富山大学110人、石川県117人、福井大学115人と比較すると、一見同等以上のように見えますが、人口を勘案すると、相当程度の格差があることが分かります。

すなわち、新潟県の人口(240万人)は富山・石川両県の倍、福井県の3倍です。そこで、人口100万人当たりの入学定員を比較すると、富山・石川両県の100人、福井県140人に対して、新潟県は52人に留まっているのです。

医師不足対策により国公私立大学の医学部の定員増が認められつつある現在、新潟大学医学部については上記北陸三県なみとまではいかなくとも、富山・石川両県の7割、福井県の5割に相当する人口10万人当たり70人(入学定員168人。現行の1.34倍)を目指すべきと考えます。

第2に、新卒医師が、人口当たり医師数が全国平均を下回る地域に就職した場合に、金銭的インセンティブが与えられるようにすることを検討すべきです。

具体的には、在学中に日本育英会から奨学金の貸与を受けていた場合、定義に該当する地域で勤務を開始した時点で返還を猶予し、その後の勤務年数に応じて奨学金の返還義務の減免を行うことが考えられます。

これはかつて、教師のなり手を確保するために、教師になった者に奨学金の返還を免除した先例がありますので、それに基づいた制度設計を行えば良いと考えます。

以上のほか、都市の大病院に研修志望が集中する新臨床研修制度の見直しや、各大学医学部で地域枠推薦を拡大する動きもあります。

しかしながら、前者は地方国立大学の出身者が研修医時代に先端の医療や研究に触れる機会を過度に制約するおそれがあり、また後者も地元出身者を入学時点で優遇するだけでは地域間の医師数格差の是正には直結しませんので、いずれについても弊害を生じたり効果が上がらないということのないよう、検討する必要があると考えます。

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公的教育支出と少子化

Posted by hsaitoh on 12月 24, 2011
活動報告 / No Comments

 

 

 

 

 

 

 

 

12月16日付け活動報告(「ご質問にお答えします(公共投資・公教育への投資)」)に関して、畠山勝太さんよりコメントをいただいたので(ありがとうございます。)、お答えします。

まず、「統計的には日本は完結出生児数の減少よりは、未婚率の上昇によって少子化が進んでいるようです。」とのご指摘についてです。

日本の少子化の場合、出生数の増加と未婚率の上昇とが、それぞれどのように影響しているのでしょうか。

松田秀樹「結婚と出産の国際比較―5カ国調査からみる日本の少子化の特徴―」(LifeDesign REPORT Autumn 2011.10)などによると、2000年ころまでの少子化は未婚率の上昇が専ら少子化の要因であったようです。

30台前半男性の未婚率  1970年:11.7%90年:31.8%(国勢調査統計より)

一方、近年になってから、夫婦の完結出生児数(結婚持続期間15~19年夫婦の平均出生子供数)の減少も少子化に影響を及ぼすことになってきたようです。

完結出生児数 1972年時~2002年時調査までの間:2.2人前後2005年:2.09(出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所)より)

以上から、依然として日本の少子化の主な原因は未婚率の上昇であるが、近年になって、夫婦当たり出生数の減少も少子化の原因となりつつある、と言えると思います。

そして、公的教育支出は、畠山さんご指摘のとおり、未婚率を引き下げる効果は薄そうです。実際、上記文献のアンケート結果によれば、日本の未婚率の減少のためには、安定した雇用、職場環境の充実、賃金の上昇など、経済環境の安定が必要で、公的教育支出の増加という要素は出てきません。

しかしこの少子化を解決するために経済環境を安定させるというのは、早急には実現困難だと考えます。なぜなら今日のデフレ経済の原因の一つに、少子化による需要の減少があると考えられるからです。

つまり、少子化投資の減退デフレ経済低成長未婚率の上昇少子化投資の減退→…という負の連鎖に日本社会が既に陥っている現状からすれば、少子化という負の連鎖の一要素を解決するために、低成長という少子化の結果でもあり原因にもなっている要素を解決しようとするのは、政策としてハードルが高いと考えられるからです。

他方で、公教育への投資は、未婚率の引き下げには効果がなくとも、夫婦当たり出生数の増加には効果がありそうです(この点は畠山さんも否定されていないように思います。)。

以下、再び上記文献に依拠して述べますが、「欲しい子供数」のアンケート結果は、少子化が進む日本でも、2010年で2.3人と、アメリカ(2.3人)、フランス(2.4人)など先進国で出生率が高い国と大差はありません(ドイツ、デンマークは資料が見つけられませんでした。)。

しかし「希望する数まで子供を増やせない・増やさない割合」が日本はアメリカ、フランスに比べてはるかに高く、夫婦当たり出生数の上昇に障害があることが指摘されています。

そして「希望する数まで子供を増やせない・増やさない理由」のアンケート結果を見ますと、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が日本は41.2%とアメリカ(32.1%)、フランス(18.1%)に比べて高くなっています。

以上のことから、公的教育支出の増加により、夫婦当たり出生数を増加させ、少子化に歯止めをかけ、またそれによって少子化も1つの原因となってしまっているデフレ経済の負の連関から日本社会から脱出させることを、私は改めて主張したいと思います。

そして、具体的に公的教育支出を増加させるべき分野ですが、畠山さんもコメントされているとおり、就学前教育(幼稚園など)及び高等教育(大学など)への公的教育支出が、統計からも、いま現在2人の子の子育てを行っている父親の感覚としても、日本は不足していると考えることから、これらの分野に投資を増やすべきと考えます。

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公共事業・公的教育投資

Posted by hsaitoh on 12月 16, 2011
活動報告 / 1 Comment

12月12日付け記事へのコメントで、内需拡大による景気回復等について、具体的な政策を教えて欲しいとのご質問をちょうだいしましたので(ありがとうございます。)、具体例として公共事業及び教育への投資を説明したいと思います。

必要な第1の政策は、公共事業の実施です。小泉内閣以降、公共事業悪玉論がさかんになり、民主党政権の「コンクリートから人へ」でそれは頂点に達しましたが、内需拡大を行うには、公共事業の拡大は不可欠です。

公共事業が景気対策として有効である理由には、①建設業は裾野や関連産業が極めて広く、投資の波及効果が大きいこと、②製造業等と異なり海外からの調達ができないので国内で投資効果が吸収されること、③建設業では非熟練・中高齢労働者でも正規雇用の可能性があり、質の高い失業対策にもなること、などが挙げられます。

現在の日本の不景気の原因は、供給が需要に比べて大きいため、企業が供給余力を削減しようとして投資を控える、結果需要が小さくなる、結果としてまた供給過剰となる、というデフレの負の循環に陥ってしまっているためですので、デフレを脱却できるまで、政府は公共事業に投資をすべきです。

必要な政策の第2は、教育への投資です。日本はOECD主要国中、公的教育支出の対GDP比が最も低いことが指摘されています(Education at a Glance2010: OECD Indicatorsより)。

この教育への投資と出生率の間には強い相関があり、例えば公的教育支出の対GDP比が高い(7.8%)デンマークでは2005-2010年の出生率も1.84と高く、フランス(5.6%、1.89)、イギリス(5.4%、1.84)、アメリカ(5.3%、2.09)と両者とも高い例が多くみられます。

一方で、公的教育支出の対GDP比が低い国をみると、ドイツ(4.5%、1.32)、イタリア(4.3%、1.38)、韓国(4.2%、1.22)、日本(3.4%、1.27)と、出生率も低くなっています。

公的教育支出を増加させ、人口減少・少子高齢化に歯止めをかけることは、企業の投資意欲の回復につながり、また教育を通じた労働生産性の向上にもつながります。

短期的に即効性が見込める公共事業への投資、中長期的に経済環境そのものを好転させる教育への投資による景気対策の実施を、以上の理由から強く主張したいと思います。

 

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